導入事例

事例紹介 株式会社ミツハシ

事例詳細

テーマ ものづくり人材育成 / 強い管理者の育成 / 中堅社員の育成 / 若手社員の育成
対象 管理者 / リーダー・監督者 / 中堅社員 / 新人・若手社員 / 技術・技能職

株式会社ミツハシ

精米からおにぎりまで取り扱う"コメの一貫メーカー"、株式会社ミツハシ。同社は主力事業の1つである精米部に生産マイスターを導入。若手・新人から管理者まで、生産マイスター・プログラムの導入により、それぞれの役割に応じて求められる知識やスキルを共通言語化。 工場内勤務の協力会社も巻き込んで"強い生産集団"をつくっている。生産マイスターを浸透させるためにキャラクターを活用し、習得レベルの"見える化"やモチベーションアップにつなげている手法も、独自のものだ。そのねらいを精米部長 兼 幸浦工場長の引本卓美氏に、また運営上の工夫を担当の斉藤力也氏にうかがった。

生産マイスターにより、協力会社を巻き込んだ共通言語化を推進

 「コメの一貫メーカーとして生活(くらし)を豊かにすることに貢献する」という経営理念をもつ、株式会社ミツハシ。同社は人材育成に関して、課題を抱えていた。過去数年間、工場ごとの勉強会・社外研修・基礎ゼミ等を通じて教育を行った結果、学習している個々人の成長は見られたものの、組織的な成長に関しては明確な成果を得ることができなかったという。
 「経験と勘に頼りがちな精米加工を科学的に検証し、安全・安心をキーワードにロス低減やコスト管理をしっかり行うことで、安全・安心で安定した商品を届けたいという思いがありました。若手・新人から管理者まで、それぞれの役割に必要な品質管理・原価管理・生産管理・安全衛生・環境管理をしっかりと学び共通言語化することで組織を成長させたい、そのための良いプログラムはないかと探していたところ、生産マイスターにたどり着いたのです」(引本氏)
 引本氏はすぐに生産マイスターの内容を精査し、役割意識や知識を高めるしくみを"使える"と判断。2013年度の精米部の教育訓練計画に、生産マイスターの通信教育と検定試験を盛り込んだ。ここで特筆すべきポイントは、協力会社も巻き込んで導入した点だ。
 「工場内には、協力会社の方もいます。その方々も含めて共通言語化しなければ意味がありません。2013年9月開講分からは、協力会社も一緒になってレベルアップする体制が構築できました。私たちは、生産マイスターを通じて"強い生産集団"をつくろうとしたのです」(引本氏)

等級がひとめでわかるキャラクター活用術

 2013年3月は1級からベーシック級まで精米部員42名が通信教育を受講し、7月の検定に臨んだ。9月からは協力会社も加わって11名が受講し、前回受けた級に合格した者はつぎの級をめざす形で、学び続けるしくみができた。今後は、半年単位で通信教育と検定のサイクルを回していく。生産マイスター実施に関するルールは、「精米部の全員が通信教育と検定試験を受講すること」、そして「費用に関しては、各級1回めは会社が負担すること」の2点である。
 生産マイスター導入の効果は、さっそく、生産現場で表れてきている。
 「工場内でなにげなく交わす会話が、以前と変わってきています」(引本氏)
 実は、工場内でかぶる帽子に工夫がしてある。帽子に、生産マイスターの等級ごとに色分けされた同社のキャラクター"ミツハシくん"のステッカーを貼り、個々の習得レベルを、全体で"見える化"。その結果、相手が何級を取得しているかがひとめでわかるため、円滑なコミュニケーションをとるのに役立っている。
 「テキストの表紙の色に合わせ、ベーシック級は青、3級は緑、2級はオレンジ、1級は赤で、取得した級が増えるとミツハシくんも増えていきます。習得レベルの"見える化"はもちろん、皆のモチベーションアップにも役立っていると思います」(斉藤氏)  斉藤氏は、生産マイスターの運営に携わっている。たとえば、通信教育のレポートは、幸浦工場については斉藤氏が、他工場については各工場長が責任をもって集めることになっている。
 「レポートは期限ぎりぎりにならないとなかなか集まらないので、社内メールで案内したり、朝礼のときにアナウンスしたり、上長から声をかけてもらったりしています。やはり声がけすることが大切だと思いますし、それをしっかりと行うことでコミュニケーションも良くなります」(斉藤氏)  新しいしくみを根づかせるには、細やかな気配りとアナウンスが必要だということだ。

継続して導入することで今後は昇級・昇格・評価の目安に

 引本氏に、今後の課題についてうかがった。
 「やはり技能の伝承は、非常に難しい問題です。だからこそ、生産マイスターへの取り組みは継続していく必要があると考えています。今後、このプログラムが定着した段階で、各自のスキルマップとして活用し、昇給・昇格・評価の目安として活用することも考えています」(引本氏)
 同社の『生産マイスター』導入の取り組みは始まったばかりだが、継続して行うことで人事考課ともからめ、精米部の教育の軸としていく方針だ。
 共通言語をつくり、個人の成長を組織の成長に結びつけたい──当初のねらいが形になりつつある。同社の今後に、引き続き注目していきたい。

プロフィール

会社名 株式会社ミツハシ
設立 1951年
本社所在地 神奈川県横浜市神奈川区栄町3-4 パシフィックマークス横浜イースト3階
代表者 三橋 美幸
資本金 30,000万円
主要事業 米穀、炊飯・加工品・輸入米の販売
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