導入事例

事例紹介 株式会社オーテック

事例詳細

テーマ 強い管理者の育成 / 人事制度の設計・運用 / 学習する風土づくり
対象 管理者

株式会社オーテック

1934年の創業以来、78年間にわたり管工機材の販売及び空調設備の制御をはじめ各種設備機器の制御・監視・管理を手掛けてきたオーテック。24年前に通信教育を導入し、累計受講者数は約6,000人に及ぶ。なかでも、管理職層への昇格要件として導入した『実力管理者コース』『実力管理者基礎コース』は、同社のマネジメント観として経営トップ以下、全管理者に着実に浸透している。今回、通信教育を活用した管理者育成への取り組みとその成果について、総務部部長の種田啓史氏、総務部人事課課長の戸井田英雄氏に話を聞いた。

昇格前教育に『実力シリーズ』を長年活用

管工機材の販売やビルシステムの設計・施工などを手掛けるオーテック。その歴史は1934年、管財を扱う個人商店からスタートした。
創業以来、堅実な経営で事業を拡大し、現在は「管材事業部門」「システム事業部門」「環境機器事業部門」の3 事業を展開、全国26 ヵ所に事業所を展開する。1989年の社名変更を契機に経営理念として「信頼・進取・創意」を掲げると共に、人材育成にも本格的な取り組みを始める。その中核が、通信教育を活用した「自己啓発制度」と、管理・監督職の昇格前教育として導入した『実力管理者コース』と『実力管理者基礎コース』だ。 以来、これら通信教育を活用した教育を人材育成の柱と位置づけ、24 年間にわたり一貫して継続活用してきた。2012 年度の自己啓発は、全社員のうち62.6%が参加するなど活性化している。

一方、管理監督職への昇格前教育は2つの階層で導入されている。1~8等級の人事等級中、3 級から4 級(主任・監督者クラス)の昇格時に『実力管理者基礎コース』、5 級から6級(管理クラス)の昇格時に『実力管理者コース』を受講。それぞれ修了が昇格要件の一つとなっている

必須教育であっても、主体的な受講が前提

オーテックでは、設備やシステムなどを扱うエンジニアが社員の多くを占めるが、専門技術・知識だけでなく、幅広い知識や社会人としての成長をより大切にしたいと考えているという。
総務部部長の種田啓史氏は、自己啓発制度に加え、昇格要件として『実力管理者コース』『実力管理者基礎コース』を導入した理由について、次のように話す。「エンジニアだからといって、専門分野の知識や技術力だけを向上させれば良いわけではありません。幅広い教養の習得はもちろんですし、特に一定の年次になったら、マネジメントの知識に関しては、きちんと身につけてほしいと考えています」

オーテックの昇格前教育にはもう一つ、大きな特徴がある。それは『実力管理者コース』『実力管理者基礎コース』の受講についてはあくまで社員の自主性に任せているという点だ。
総務部人事課課長の戸井田英雄氏は自身の経験もふまえ、次のように語る。「昇格の要件ではありますが、あくまで自己啓発の一環として受講してもらっています。特に4 級への昇格前教育となる『実力管理者基礎コース』を受講するタイミングは、私もそうでしたが、ちょうど後輩が増える時期です。部下指導や職場のマネジメントについて自ら必要性を感じ、自主的に受講する社員が多いようです。」                

さらに種田氏もこう続ける。「部下や後輩を管理・指導する状況に直面し、いろいろな悩みや課題を抱える中で、本人の問題意識も高まってきます。こうしたタイミングで同コースを受講することで、学習効果が高まると実感しています。」一般からリーダーへ、リーダーからマネジャーへ、一段高い役割を担うという成長の節目に、適切な学習機会を提供することが主体的な学習となり、高い効果を生み出している。

継続教育で全管理者に共通のマネジメント観が浸透

管理者に求められる普遍的な役割や役割遂行に必要な能力を学ぶ『実力管理者コース』と『実力管理者基礎コース』。実際にこれらのコースを自らも受講した種田氏と戸井田氏は、次のように語る。「若いときには、なぜ上司からこういう指示がくるのか理解できないこともありました。しかし『実力管理者コース』を受講した後は、上司がどのように考え、何を意図して指示を出しているのかわかるようになりました」(戸井田氏)
以前は上司の指示を待っていることが多かった社員も、受講後は自分から動けるようになるという。管理者の立場や役割を学んだことで、上司の言動の真意が理解できるようになったのだ。  

また、長期にわたって同じ教材を使い続けてきたことが、さらに大きな効果をもたらしている。「導入から24 年が経ち、社内には『実力管理者基礎コース』『実力管理者コース』を学んだ社員が数多くいます。社員全体の能力を底上げできたことに加えて、同じ考え方を勉強したもの同士なので、お互いの意思疎通がしやすくなりました。これは予想以上の効果です」(戸井田氏)
現役の管理職はもちろんのこと、社長以下経営陣も全員『実力管理者コース』の卒業生だ。長年の一貫したマネジメントの基本教育は、経営と現場をつなぐ共通言語となり、確実に定着しているようだ。

通信教育と研修の連動で管理者教育の進化を目指す

現在オーテックでは、通信教育と集合研修を目的に合わせて、効果的に実施している。通信教育では自己啓発による基礎知識や幅広い教養と、昇格時に管理職になるための基本を学び、研修では、入社10 年までの年次研修を中心に、より実践力のある知識の習得をめざしている。

こうしたなか、『実力管理者コース』『実力管理者基礎コース』についても、今後、研修と合わせて実施することで、さらなる学習効果の向上をめざしたいと考えている。「せっかく勉強しても、知識としてただ持っているだけでは意味がありません。同じことを学んだ社員同士が集まり、研修の場で議論しあうことで、学んだことを再度確認したり、新たな気づきを得たり、さらには知識を実際の業務の中でどう活かしていくかを具体化したりと、様々な効果があると考えています」(戸井田氏)

通信教育での学びを土台に研修を行うことで、「確認の場」「気づきの場」「実践の場」が実現できる。オーテックの人材教育は、さらなる継続・進化にむけて、新たな一歩を踏み出そうとしている

プロフィール

会社名 株式会社オーテック
設立 1934年
資本金 5億9,940万円
主要事業 1948年、管工機材に加え建物設備の自動制御工事を開始。1989年に称号 を㈱オーテックに変更。2000年株式上場(現・大阪証券取引所JASDAQ)。
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