導入事例

事例紹介 キャノンシステムアンドサポート株式会社

事例詳細

テーマ 強い管理者の育成
対象 管理者 / 営業職

キャノンシステムアンドサポート株式会社

キヤノングループの販売部門として、1980年に設立されたキヤノンシステムアンドサポート。管理職教育を重視し、OJTとOff-JTが一体となった教育体制を整えてきた。
2010年からは管理職の教育プログラムに通信教育を導入 し、さらなる効果を上げている。
そこで、管理職教育に通信教育を導入した経緯と実際の効果について、総務人事本部人材育成部担当本部長の植草一良氏と同部部長の倉持嘉秀氏に話をうかがった。

管理職のマネジメントに一定の方針と方向性を

キヤノンシステムアンドサポートが全管理職を対象とした教育に通信教育を導入したのは2010年3月。以来、部長職159名が『上級管理者コース』、課長職545名が『実力管理者コース』を修了した。
従来から同社では管理職教育を重視し、組織の要となる全課長職を対象にコンプライアンス、労務管理、人事評価といった実務教育を実施してきた。

総務人事本部人材育成部担当本部長の植草一良氏は、新たに通信教育を導入した経緯をこう話す。
“守り”から“攻め”へのシフトチェンジ、それが全管理職に通信教育を導入した大きな理由です。これまでは、業務に必要不可欠となる実務的な知識を習得することに、管理職教育の主眼を置いてきました。その効果により基礎的な知識が蓄積され、強固な土台が築かれことで、攻めに向かう体制が整いました。“攻め”の教育には、一人ひとりが日々の業務のなかで能動的に学習できる通信教育という方法が最適だと考えたのです」

同社にとって“ 攻め”の最前線を担うのが課長職である。同社のビジネスは、顧客を訪問し、製品・サービスを直接提供することに基軸を置いている。ソリューションビジネスは、企業間競争が激しく、当然のことながら“現場力”の優劣で業績が大きく左右する。その第一線の集団を束ねるのが課長職だ。
強い現場を構築するためには、部長職が全体の指揮を執り、課長職が課員のモチベーションを高め、牽引しなければならない。守りから攻めへ、管理職教育の主軸は“強いリーダーシップ”の構築へとシフトする。
「課長がリーダーシップを発揮するための最大の武器はマネジメント力です。当社は、O-PDCAサイクルを重視しています。(OはObjectives:目標の頭文字)しかし、基本的に課長職はプレイングマネジャーであり、営業スキルは高いものの、管理職としてのO-PDCAの回し方にバラツキがありました。そこで、課長としての役割意識と求められるスキルを実践的に習得する『実力管理者コース』をマネジメントの指針としました。共通の指針のもとで、課長職が体系的にマネジメントを学習することで、組織のリーダーとなる“強い課長”を育成したいと考えています」(植草氏)

通信教育の導入効果は”気づき”と”共通言語”

管理職教育に通信教育を組み込んだことで、実際にどうような効果が生まれたのか。
植草氏はキーワードとして、“ 気づき”と“共通言語”の2点を挙げる。
同社がめざすコンサルティングセールスは、科学的で合理的な思考が必要となる。
そのためには、課や自分の業務を見つめ直す“気づき”が重要になる。通信教育は、テキストで考え方を知り、レポートで自分の仕事に照らし課題と対策を考え、添削結果をもとに実践するという、“気づき”の機会を多く持つことができる。これがOPDCAを着実に回すきっかけとなるのだ。

そして、立てた戦略を実行に移すときに必要になるのが“ 共通言語”だ。戦略がどんなに優れていても、的確な言葉で部下を指揮できなければ効果は期待できない。適切な言葉を用い、「なぜ今これが必要で、どのように実行するのか」という根拠を伝えることで、部下は納得して行動に移せるのだ。通信教育を通じ、論理的な“共通言語”を身につけることで、部下への指導力が格段に高まったのだという。

また、『上級管理者コース』を実際に受講した倉持氏は感想をこう述べる。
「上級管理者コースを受講して、考えさせられたのは、“部長とは何か”という根本的なところです。部長とは課長の役割を大きくした“大課長”ではなく、“構造改革を推進し、組織に恒久財産を残す、ワンポスト・ひと仕事”が問われることを再認識できました。それにより、自分の職責や仕事の進め方を見つめ直すきっかけになったのです。JMAMの管理職向け通信教育は、管理職の役割や仕事の本質を掴むためにも、有用だと考えています」

通信教育で習得した知識を実際の現場レベルで活用

通信教育は、体系化された管理職研修と連動して運用されている。同社では「課長研修」「コーチング研修」「フォローアップ研修」の3本柱で構成する『ライン管理職変革プログラム』を2010年11月から実施。研修に参加する条件として、『実力管理者コース』の修了を必須とした。修了時には、通信教育を受講して「参考になった点」「疑問に思った点」を3点ずつ提出。人材育成部では、それらの中から代表的な疑問点をピックアップし、集合研修のプログラムにディスカッションの題材として組み込んでいる。

倉持氏は、通信教育と研修を連動させる意図をこう語る。
「研修に参加する前に通信教育を受講することで、個人によってバラツキがあったマネジメントなどの知識を、均一化できる効果があります。しかし、通信教育で体系的に学び、底上げされた知識を、現場で活用できなければ意味がありません。自分の現場と照らし合わせながら学ぶことで、実践的な学習能力が養われるのです。通信教育の修了時に疑問点などを提出してもらい、ディスカッションの議題として用いるのも、学習した内容を現場レベルに落とし込みやすくするためです」

人材育成部では、通信教育の修了を促すために、全受講者に対して励ましのメッセージを電話やメールを通じて送っている。こうした地道な活動の効果もあり、100%に近い修了率を実現している。
さらに、同社では、2012年2月から課長代理職436名に『実力管理者基礎コース』を導入した。管理職教育の範囲を管理職候補にまで拡大することで、強い管理職が着実に育ってきている。

プロフィール

会社名 キヤノンシステムアンドサポート株式会社
設立 1980年
資本金 45億6,100万円
主要事業 複写機や各種情報機器の販売とメンテナンスを主業とし、コンサルティング セールスを展開。全国約200ヵ所ある営業所が一体となり、ワンストップでサービスを提供。
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