第63回 再び、スイスコー(Caux)に戻って考えたこと
先月下旬、スイス、レマン湖のほとりから海抜1000メートルの山腹にある小さな町コー(Caux) に行ってきた。このメルマガで何度か触れたInitiatives of Changeのコンファレンスに参加するためだ。コーへは、2004年から2007年まで4年間、JMA主催のグローバルビジネスリーダープログラム(GBL)の一環として毎年、GBL受講生とともにここで行われるコンファレンス&ワークショップに参加していた。http://www.caux.iofc.org/en/home
GBLが2008年からは中止となってしまったので、かわりにGTL(グローバルチームリーダー育成プログラム)を昨年からスタートした。GBLはトータルで30日間、半年かけて、欧州、米国、中国でもセッションを行う、かなり大がかりなアクション・ラーニングのプログラムであったのに対して、GTLは10日間。昨年は国内だけで行ったが、経済人コー円卓会議日本委員会の協力を得て、今期からコーでのセッションを復活させた。
なぜ、海外でのプログラムの中でコーセッションだけを復活させたのか?もちろん、他にも捨てがたいセッションがいくつもあった。それでも、コーだけはなんとしても復活させて、多くの日本人に「コー体験」をしてもらいたいと考えていた。なぜ、そこまで思うのか?その答えは41名のGBL終了者ならそれぞれのことばで語ってくれるだろう。彼等は今でもコーセッションの強烈な学び、気づきを述べてくれる。実際、GBL修了者のMLにコーに来たことを伝えたところ、すぐに多くの受講者からレスを頂いた。そして、今年、「コー参り」をした12名のGTL参加者も先輩達と同じように、あるいはそれ以上にかけがえのない学びをつかんで日本に戻った。曰く「自分自身について、あれほど掘り下げて考えてみたことはなかった」、「東欧、中東、そしてアフリカとあれだけダイバーシティの高い環境で対話をしてみて、日本についてじっくり考える機会になった」、「グローバルと言っても自分がほんの一部分しか見ていなかったことに頭を殴られたような気分であった」等々。
毎年ここには、世界中から3000人を超える人がいろいろなワークショップに参加している。我々も、ちょうど380名の参加者とワークショップを一緒にすることが出来た。コーでは「CEOでも博士号取得者でも、肩書きではなく一人の人間として社会に貢献できることを対話を通して考える」という精神が生きている。欧州の政治家やCEOも、中南米やアフリカから来ている教師やエンジニアと一緒に対話をするわけだ。三年ぶりに、コーに戻って改めて、その精神が生きていることを実感させられた。レバノン、ソマリア、サラエボなど、「目の前で肉親が死ぬ原体験を持った人」「砲弾が飛び交う中で勉強してきた人」と直接対話ができることは他ではできない経験だ。我々はそこまで厳しいところに置かれていないことに気づかされる。それは、新聞やニュースで見聞きするのとは全く違う。そんなことを踏まえた上で、では、我々は本当に何をすべきか、を問い直し、見つめ直すことにGBLやGTLの参加者も、そして、私も多いに魂を揺さぶられるのだ。
スイスの山奥で、世界中の人との対話を通じて、自分にむきあい、世界にむきあい、感性を磨く時間、やはりコーならではの学びがある。グローバルリーダーを目指す者は全球的課題を考えながらも、目の前の課題にとりくみ、目の前にいる人を励ますことができるのか、その両方にむきあいながら、前に進んでいく、そんなことを再確認し、「グローバル人材育成」に新たな気持ちになることができた。
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